まちづくりの到達点と課題を考える     4.17野村不動動産との9回目の話し合いの検討から 

まちづくりの到達点と課題を考える
    4.17野村不動動産との9回目の話し合いの検討から 
                      
            住みよい綱島・箕輪・日吉のまちを考える会 事務局
 
 住みよい綱島・箕輪・日吉のまちを考える会(代表・木間誠二)は、4月17日(水)、午後5時から8時まで、日吉地区センターにて野村不動産との箕輪町2丁目開発をめぐる問題について9回目の話し合いを行いました。参加は、野村側から永井、那波、高橋の各氏、考える会側からは、木間、金沢、渡辺、小嶋、西川の各氏でした。
  野村側から提出された資料は、①工事協定(案)②前会話し合いの議事録③エリアマネジメント資料(2018年)の三つでしたが、今回初めて、簡単な議事まとめが出されたことが、一つの特徴でした。住民側も、前回記録メモと、その後のまちづくり課に対して行った質問事項書を資料として提出しました。
 以下、次のテーマ(課題)で話し合いがおこなわれました。
    ①B区商業棟に予定されている保育所問題
    ②地区計画決定と保育所の位置の問題
    ③騒音計・振動計の設置、その後の問題
    ④工事協定問題
    ➄エリアマネジメントの問題
  ⑥日程について
  ここでは、話し合いの記録を参照しながら、なにが話し合われたのか、これまでの経過と到達点を吟味しながら、残される課題について検討してみたいと思います。お目通しいただき、ご意見をお寄せいただければ幸いです。
 
1 保育所問題~B工区商業棟3階90人定員の保育所の配置について
 
 野村側からは、横浜市当局〈まちづくり課〉との話し合いの結果、野村不動産は、B工区商業棟3階に配置する保育所は、定員60人ではなく、90人とすることで合意した」(4月12日)との報告がありました。また、 追加的部分はさらに話し合いを続けるとのことでした。
 これに対して、住民側は「保育所は一階に配置して欲しい」と要望してきたが、その要望をどう見るのか。それでなくとも、商業棟3階(住宅棟)5階相当)への配置は、市の保育所設置基準にあわないし、地震や火事の危険時にどのように安全避難が保障されるのか。60人でも心配なのに、90人定員という。保育士さんがおぶって、抱っこして、90人の子どもたちを3階から安全避難させることは並々ならぬことだ。エレベーターは使えない。外階段を駆け下りるのだ。たいへん不安だ。場所がないわけではない。保育所は一階に配置することにして、商業施設を上にして欲しい。定員は60人でいい。あと30人は、C工区の中央広場に面した地域貢献 施設に配置して欲しいことを述べました。
これに対し野村側は、テナント業者が、「安全にできる」と判断したことをことを受けている。「商業棟3階は低層」と認識する、と述べました。 
  そもそも、箕輪町2丁目の開発計画で横浜市認可の保育所を生活支援施設として設置するという方針は、地区計画決定にもとづくものです。その際、保育所は、「低層」に配置するとされています。横浜市保育所設置基準でもマンションに作る保育所は「一階に配置する」と定められています。なぜ1階であり、低層なのか。それは、何より、子どもの保育の安全安全を第一にするからです。いざという時の避難の必須の条件です。一階でないとすればせいぜい二階です。避難が滑り台で行いうる高さです。高層の保育所がないわけではない。多くの場合、どうしても土地、空間の確保ができない等の事情があります。今回の箕輪町保育所の場合、土地・空間がないということではないのです。商業棟3階を希望する、商業テナントがいなかったという事情のようです。保育所が積極的に3階に配置される方が良いとする理由は見当たりません。子ども第一、最善のものを〈子どもの権利条約というのではなく、業者の都合優先、営利第一をもって、「総合的に」勘案した結果としか言いようがありません。
  市のこども青少年局子育て支援部保育対策課の担当者のお話では、認可保育所の場合、マンションの一階に配置するという基準に合わない場合、安全対策対応に厳しい条件が付くとのことです。今回、箕輪町開発施設内で認可保育所を運営する業者は確定している(賃貸高齢者住宅とは違って、野村直轄~子会社~ではない)ようですが、まだ具体的な認可の手続き(申請)は行われていません。書類が出された段階で、認可基準を満たしているかどうか、審査するとのことです(横浜市方区対策課)が、事前相談の段階で、横は市はあれこれの助言を行っているとみられます。野村不動産が業者(予定テナント)が「安全対策もクリアーできる」といっているというのも、市側が事前相談の段階で、一定の容認を与えている公算があります。事前相談を否定するものではありませんが、地区計画の決定、保育設置基準を前提にした場合、相談協議において横浜市の取るべき態度はなにか。業者の都合(優先)や営利第一の立場をチェックすることがなくてはなりません。市の認可する保育所は、住民の生活支援施設であるだけでなく、何より「保育に欠ける」子どもと働く親にとって福祉施設であり、何より、安心安全と健康的な成長のための保護保育を保障する施設であり、そのようなものとしての環境整備が必要であるということです。それは、営利第一ではあり得ないことの確認が不可欠です。横浜市は、その保育事業の特質が営利主義によって歪められ、軽んじられることのないようしっかり守って欲しいものです。
 開発業者が、地区計画に基づくまちづくりとは無関係に事業展開するというのであれば、営利優先、第一主義の原則が幅をきかすこともあるかもしれません。そうではなく、都市計画審議会決定の箕輪町二丁目地区計画に基づきまちづくりとして「開発」を行う以上、その実現に向けた企業努力~企業の社会的責任~が果たされなくてはなりません。あまりの営利主義は、まちづくりの原則としては成り立たず、抑制されるべきことであることを知るべきです。認可保育所問題で、業者の都合、営利第一の立場で保育所施設の特別な意味が二次的、三次的に考えられて解決(判断)されていいものではありません。横浜市は、業者の意志を尊重しつつも、保育事業がその特質を踏まえ生かす事業となるよう、格段の指導援助が必要です。業者任せや、業者の言い分を権威付けするだけの行政対応であってはならないのです。保育所設置基準(ガイドラインの厳正の適用が求められるものです。 住民側は、保育所の設立が、マンション住民はもちろん地域住民にとって僅僅の課題であることを強調しつつ、地区計画決定、市の設置基準に合致した、子どもたちにとって最善のものとなるよう建設することを、重ねて要望しました。
 
2 地区計画の決定とその後の野村不動産の建築計画の変更に ついて
 
 一方、前回の話し合いの時、野村不動産は、B工区の商業棟に保育所を配置することについて、地区計画に違反するものではないかという意識を持ち、実際どうか、「市にお伺い」を立てた。それを「2018年2月22日」の届出文書で行ったと言明しました。《考える会》として、横浜市に確認しましたが、その結果、当該の日付の文書は、「『A工区』の建築計画の届出文書」だとのことでした。これはどういうことかと野村不動産に質しました。
 これに対し、野村不動産の担当者は、「2018年2月22日の文書は、たしかに、A工区の計画書だが、その中にB工区の図面を1部分付けている。そこに、商業棟に保育所を配置する図面が入っている」とのことでした。(未確認)
 重ねて、その「届出」は、野村側としては、保育所の配置をC工区からB工区へ移すことは、地区計画の決定の内容と異なるという認識~その変更が地区計画に適合する枠内のものであるかどうかの判断とは別にして~で持っていたが故ということでいいのかとただしました。というのも、横浜市の地域まちづくり課は、今回の変更を地区計画の決定(内容)と異なる変更だという事実自体を認めようとしないからです。
 どういうことかというと、「生活支援施設」が「中央広場の低層部」に配置されることは地区計画にのっとって行われるべき方針(決定)だが、具体的にどういう生活支援施設を当てるのかについては、「保育所」とか「集会所」とかが書かれているが、それでなくてはならないということではなく、サンプルの例示である。生活支援施設が何もないということでは決定違反だが、「保育所以外のものでも生活支援施設であればOKである。これが地区計画の決定だというのです。保育所にしてもつくらないというのではなく、他の場所に配置されることにしておりなんら問題ない。何にも地区計画と異なるものではではないというです。これが市の見解でした。
 この点では、野村側はどう考えていたのか。前回の話し合いでの確認にもなります。今回、野村がまとめてきた「議事録」では、C工区内に保育所が計画されていた案があったが、B工区の説明会の際に、その旨の言及しなかったことについて、「反省はしているが、意図して変更(隠した)という認識はない」とされています。「反省」というのは、意図的でないにしても、「変更」~C工区内に保育所が計画されていたものが、B工区に移された事実~について、住民には、一言も「説明」しなかったことについてです。私たちはそう理解しました。実際、野村の担当者は、「『ゴメンナサイ』です」といったのです。今回、「意図して変更を隠したわけではない」という言い訳がはいりました。客観的には《隠した》のですが、それは意図的ということではなかったという。意図的だったとしたら、詐欺ですが、問題は変更を変更として認識していたのかどうかです。その点では、隠す意図はなかったが、変更であることは意識していた。これが確認されたことでした。だから「お伺い」も立てたということです。
 今回においても、「変更」を事実として認識していたということを、市側のように「認めない」とは言いませんでした。しかし、前回の確認と少々異なる言い回しになりました。
 それは、地区計画決定に照らして、その記述と異なる変更をおこなったということではなく、自分たちが、それまでに住民に提示していた計画内容と異なっているということについての意識であり、それでいいのかという問い合わせであったという言い回しです。変更の意識は、地区計画の記述(内容)と異なるかどうかということではなかったというのです。
 では、最初に出した野村の計画は、地区計画にのっとっているという認識はあったのかと尋ねると、それはあったという。ということは、地区計画にのっとった先の計画を変更した結果、それが地区計画とは異なったものになり、逸脱、不適合とみられる危険を生んだ、ということでもあるでしょう。先に提出した計画の変更について適切かどうかのお伺いは、それが地区計画との整合性を保っているかどうかについての問いと不可分ということになります。
 もとより、野村が自分の計画をあれこれいじることはあるだろう。よりよいものにしていくという点で、あれこれ変更が起こることは、ある意味で当然でしょう。それが問題になるのは、変更が地区計画の内容との関係でどうかということが基本になるのです。地区計画の内容から逸脱するような変更は、いくら良かれ、の善意であったとしても、認められない。これは原則でしょう。市は、今回の野村の計画について地区計画決定を逸脱していないか、歪められていないか。手抜きはないか、点検しなければなりません。野村不動Ð産の側としては、今回の変更が、文言の上での地区計画の記述と異なるものである以上、その変更が地区決定の内容の変更といわなくてはならないものか。それほどではないものか。どう評価されるのかについて、「お伺いを立てる」(判断を市側に求める)という必要に直面したということになります。
 そのお伺いが、A工区の建築計画の添付資料としてB工区の変更図面をつけたという行為だけであったとすると、それだけの行為で「お伺いを立てる」ことになるのか。こっそり滑り込ませたということでは、地区計画に適合する変更かということについての「お伺い」を立てる行為としての意味は持たないのではないか。事実、市側には、お伺いを立てられた意識は、まったく「ない」ということでした。
  野村側の、今回の変更について、以前に野村自身が発表した計画とは異なっているという意識はあっても「地区計画と異なる」という意識はなかったといういい方は、前回の発言の微妙な修正です。「地区計画と異なる」という意識はないという点で市と同じ見解が強調されました。なにかのすり合わせの結果でしょうか。野村の担当者は、「こっそり忍び込ませた」というものではないとしました。どういうことか。地区決定の過程、また、その後において、建築計画上の諸問題については、横浜市とでは週一回のペースで協議をしてきた。保育所の配置場所の変更についても、協議のテーマ一つだった。それは週一協議のなかで提起していた事柄だ。市は、当然、「変更」を知っていた。変更は、地区計画に適合するという解釈で合意した。そこから考えると「変更」は地区計画の変更でもなんでもない。決定通りということになります。その意味では、なぜわざわざA工区の建築計画の届け出に際し、B工区のB工区の商業棟(保育所を3階にするという「変更」の図面を付けたのか、という問題が浮上します。
 「変更」が地区計画どうりというのであれば、計画が地区計画に違反するかしないかの「お伺い立てる」という行為は必要ありません。A工区の建築計画の単なる提出です。それ以前に、「お伺い」はなされており、市の側は、その変更を問題ない、地区計画の内容通りだ(適合)というお墨付きを与えていた、少なくとも、週一回の協議の中で、そうしたものとして解釈を一致させていたということなのです。建築計画の提出の際に、変更の図面を添付したという行為は「お伺い」のポーズにさえなっていないのです。市は、野村の提出した計画変更が地区計画の内容と異なるものになっているという意識の存在を頭から、認めないという市の対応と符号するものです。届出以前に、決着のついた問題だったのです。
  この点は、地区決定の文言についての事実認識が関係します。「中央広場に面した低層部に保育所を配置する」という記述(こと)と、「綱島街道に面した商業棟の3階に保育所を配置する」という計画(こと)とが、保育所の配置について、同一のことであるといったい誰が認めるのでしょうか。普通に読んでその理解はできないのです。地区計画の決定の記述の趣旨に照らして読めば、中央広場に面した低層部に配置されるべきは生活支援施設であって保育所はその一例、他のものでいい。そういう解釈が市の見解だとしても、住民はその解釈には納得できないのです。地区計画の決定の解釈権はどこにあるのかということになります。
 この点では、「地区計画決定の解釈権は市長にある。その権限の一環として地域まちづくり課が権限を持つものだ」とまちづくり課の担当者は言明します(4・17)。
  しかし、都市計画審議会決定のプロセスには、少なくとも住民の要望を聞くということがありました。その窓口になったのが地域まちづくり課です。「広場」とか、「貫通道路」など「町会」からの要望があった、とまちづくり課の担当課長はしきりと強調していました。私たちも様々に要望の声をあげました。都市美景観審査部会では、専門家の厳しい注文が、周辺地域との調和やまちづく理に関して注文がだされました。景観という建物全体とまちづくりの問題です。地区計画決定そのものは、土地の高度利用制限緩和等仕方で、周辺地域住民への多大な圧迫感をもたらすボリュームの建築物の建築が可能になる(容認する)するものでした。高さ60m容積率250%を合法化した。同時に、その容認とは反対に、その方向を規制する視点として、周辺地域との調和、圧迫感の低減、地域貢献、生活支援、生活利便施設の配置など定めたのです。単に、高層マンション(集合住宅)建設だけでなく、《まちづくり》への貢献が書き込まれたのです。後者には住民の要望が地域住民の声の反映がされるものでした。決定文書の文言に、そうした住民要求の反映があったのです。「広場に面した低層部に保育所を」もそうしたものの一つ(事例)であったといわなくてはなりません。
 そうした要素を積極的に解釈するのではなく、サンプルの一つであり、どのサンプルを選ぶのかは業者の都合に合わせ、総合的にバランスを考え、結局のところ、住民要望の要素をそぎ落とし「問題ない」という「解釈」に対し、住民は異議を申し立て、正当な評価と解釈を求める権利があるといわなくてはならないのではないでしょうか。
 市との週一協議で「変更は問題ない」と合意した、と野村の担当者は胸をはりました。その合意で、地区計画に適合という解釈がなされてたというのです。とんでもない話です。解釈権は市長にある。主権者もつ住民の側にも権利がある。その立場からただす、と反論しました。
 
3 騒音計・振動計の配置について
 
 野村側との話し合いの成果として、実現したことは騒音計・振動計の配置です。場所は現在のところA工区の北側の一ヵ所です。既に、A工区の杭打ちなどは終わっている。BCと移っていくが、その騒音振動をフォローする場所になっているか。移動させるか増やすことが必要ではないか。また、計器は鉄板や壁に囲まれている。適切な計測ができるのかが問われました。              
 野村の担当者は、一ヵ所以上にするつもりはないとします。二か所にしても変わらない。また、綱島街道に近ければ、街道の騒音だけで一定のものがある。工事現場と重なると大きくなる。どこまでが工事か、街道の車の騒音か、いろいろなものを拾い分けられないというのです。
 しかし、定点で騒音・振動の測定も必要でしょうが、工事の進行に伴い、適切な場所に移して測定する必要も明らかです。住民からすれは、工事の音も、交通の音も合体されてたものとして騒音を聞く。純粋工事音だけという生活音はあり得ません。現場の騒音・振動測定は、純粋工事音測定のためのものではないのです。現場の騒音は全体で体に迫って来る。その実態を把握するためのものです。
 もとより、無駄な場所で、無駄な測定は必要ありません。住民側は、どういう配置測定が適切か、専門家の判断を聞いて判断すべきを提起しました。
 工場騒音の法的規制のレベルは、建築騒音規制より低く、厳しいものです。建築工事は一定期間で終わる。工場はずっと続く。その差があります。しかし、今回の建築現場は、大規模な長期間工事の現場です。A、B、C、D工区と広大な範囲で工事が続く。さらに、学校の工事、綱島日吉トンネルの工事もある。みんな重なってくる。しかも、準工業地区ですが住宅が混在する。つまり住宅街での長期大規模です。駅前の再開発や山の中で開発工事とは異なるこの地の工事の特殊性です。そこで、騒音振動構造がながく周辺環境を支配するのです。その間、住民の痛苦は続くのです。工事は場所をずらしながら並行して行われるが故に、周辺住民全員が一点集中的影響を持続的に受けるわけではないとは言え、環境全体が過酷な拷問にさらされるといって過言ではありません。
 今回設置された騒音・振動計は、そんな中の一点にすぎません。であるにしても、その点において、一定の期間をとって、どれだけの値がでているのか、実態記録を確かめ、住民に公開し、共有する機会を持って欲しい。これも住民側からの要望として提起しました。
 専門家の判断、記録の公開共有などについて野村側も同意しました。
 この過程を経て、今回設定された場所での測定の意義を判断し、存続(次の場所への移動)についても判断されてていくことになるでしょう。常時、三か所での配置は必要ではないかと思われます。これも専門家の判断を聞きたいところです。
 
4 工事協定(案)について
 
 この間、野村との話し合いで、煮詰めてきたことの一つは《工事協定案》です。今回野村側から提示されて《工事協定案》には、これまで、市の条例に基ずく、A、B、C工区の建築計画の説明会で提起された「工事順守事項」には入っていない項目が盛り込まれました。
 ①とくに騒音・振動の大きい特定建設作業については午前9時から午後9時までとする 
 ②特定建設作業を「作業時間外」に行うことが事前に明確になった場合には「掲示板」にて周知する。
 ③大型ダンプ、生コン車は、日大付属中・高校東側道路の通行は行わない
などがあります。それらを盛り込んだものを《工事協定書》のサンプルとするという提案が出されました。その内容を「工事順守事項」に盛り込み、周辺住民に配布するようにするということも提案されました。
 工事協定の対象は、町会、マンション管理組合に限定するということですが、具体的働きかけはどのように行われているのか。
 野村側からは、「連合町会長町会長には接触している」とのことでしたが、協定にという流れにはなっていないよいうことです。
 住民側からは、箕輪町で行われたまちづくり放談会などでも、町会として工事協定を野村と結んで欲しいなどの発言していること、また、横浜市港北区(長)は町会(長)に影響力はもっていることから、区長・区を通じて町会として、工事協定 を締結に前向きに臨むように働きかけることに取り組んでみたいなどの発言がありました。
 そもそも、野村側として、なぜ、最も直接的被害受ける近隣住民と個別の工事協定を結ばないのか。市の手引きでも近隣住民と工事協定をむすぶことが提示されており野村側が近隣住民を対象とした協定は結ばないという方針の見直しを求める~これが住民の声です。
 《考える会》としては、住民サイドの要望を述べ、工事協定書の原案(サンプル)の作成に協力しました。野村側は、《考える会》は任意団体ということで工事協定の当事者とは認知しないという立場を一貫させています。我々としては、そのこと自身の見直しと求めながら、我らが、協定当事者になることが目的ではなく、協定事項が確実に行われ、住民の適切な住環境が守られるのか、それが蹂躙林されることはゆるさないというという立場で、環境保全に関心をもってチェックを引き続き行っていくこと表明、野村側の対応を求めました。
 
5 「エリアリアマネジメント」について
 
 民間の開発事業の場合、「マンションを立て、売却が終わった。あとは、一切関係ない」といういわば売り逃げの業者が多いことが、ひとつの社会問題にもなってきました。今回、野村の場合、売り逃げしないで、むしろ、地権者、テナントとしての残り、マンションの管理組合にも参加し、そのことを通じて、エリア全体の「まちづくり」のマネジメントに責任の一端を担う、とのことです。野村不動産としては、初めての取り組みで、市とも協定を取りかわしている(2018年)ということでした。その協定に際し、提示された『エリアマネジメント構想(方針)』にそって説明がなされました。
 それを見ると、『エリアマネジメント』の「上位」に位置づく計画として、市の「マスタープラン」や「日吉綱島東部地区まちづくりビジョン」が掲げられています。土地の高度利用、持続可能、多世代交流などがあげられています。
 実際、何のをするのか、様々なことが描かれていますが、実際はまだ何も決まっていない状態でもあるようです。ただ、「町の魅力発信」「地域交流」などを行うイベント組織、といったイメージが伝わってきます。町会などとの関係も記されるが、地域住民の自治共同といった主体づくりとは一致しない。むしろかけはなれているように見えるものです。掛けはなれたというよりも、管理主体づくりとして全く対極、対立するものにも見えます。実行プランになっていないといわれますが、一回の聞き取りでは、「全体」像が見えたとは言えません。引き続き検討課題になることを確認しました。
 同時に、工事協定づくりの議論など、それ自体が、まさしくエリアマネジメントの課題そのものへの取り組みであるのではないか。住みよい地域づくりに向けた住民の取り組みや、そうした住民との協議を抜きにして、営利営業中心のエリアマネジメントはあり得ないのではないかということはいえそうです。
 
7 野村側が「議事録」作成
 
 最後に、野村側は前科の話し合いの議事録なるものをまとめてきました。これまでになかったことです。今まで、住民側のまとめだけで、野村側は何もつくってこなかったということ自体が、話し合いへの誠意〈態度〉の問題として問われうものであったと言えるでしょう。前回、住民の側から激しく批判された点でもありました。
 住民の生活に大きく関係する「保育所の位置の変更などについて、野村側は、住民説明会では一切言及しなかったことについて、前回の発言では、「ごめんなさい」でしたが、今回のまとめでは「意図(変更)があってやったことではない」と記録されましたが、話し合いで、「意図的に変更の事実を住民に隠した事ではなかった」と確認しました。変更の事実は当然ながら承知していたのです。引き続き、事実を確認し、正しく記録に残すこととします。
                                                         
8 次回の日程
 
  次回10回目は、6月5日(水)午後5時から 日吉地区センターを確認しました。
 
                                                           (2019・5・9)